厩火事



落語家の桂歌丸さんは２日午前１１時４３分、
慢性閉塞性肺疾患のため、横浜市内の病院で死去したことが分かった。
謹んで哀悼の意を表します。
合掌、。。。。。


■NHK　2018年7月2日 16時32分
落語家の桂歌丸さん死去 81歳
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180702/k10011504871000.html
古典落語の本格派として人気を集め、演芸番組「笑点」の司会者を務めるなど落語界の「顔」として活躍した桂歌丸さんが、２日昼前、肺疾患のため横浜市内の病院で亡くなりました。81歳でした。

桂歌丸さんは昭和11年、神奈川県で生まれ、中学校を卒業したあと五代目古今亭今輔に入門し、その後、四代目桂米丸の門下に移って桂歌丸を名乗り、32歳で真打に昇進しました。

さらりとした味のある語り口が持ち味で、近代落語の祖と言われる三遊亭円朝の長編の怪談噺に次々に挑戦したほか、これまで埋もれていた落語の掘り起こしに長年取り組むなど、古典落語の本格派として高い人気を集めました。

また、落語ブームをけん引した民放の演芸番組「笑点」に昭和41年の放送開始当初からレギュラーとして参加し、平成18年からは五代目三遊亭円楽さんのあとを継いで司会者も務めました。平成16年からは落語芸術協会の会長を務め、名実ともに落語界の「顔」として長年にわたって活躍しました。平成19年に旭日小綬章を受章したほか、おととし文部科学大臣表彰が贈られています。

歌丸さんは平成21年に持病の肺気腫が悪化して一時的に入院したものの、復帰後は精力的に高座に上がっていました。その後、呼吸器の病気や腸閉塞などで入退院を繰り返し、おととし５月には体力の限界を理由に「笑点」の司会を降板しました。その後も入退院を繰り返すなか、去年８月には東京・国立演芸場で毎年続けてきた夏恒例の高座に登場し、熟練の話芸を披露していました。

落語芸術協会によりますと、歌丸さんは２日午前11時43分、慢性閉塞性肺疾患のため横浜市内の病院で亡くなったということです。

病をおして高座へ
桂歌丸さんは近年はさまざまな病気で入退院を繰り返していましたが、ことし４月まで病をおして高座に上がり続けていました。

歌丸さんは、慢性閉塞性肺疾患や帯状ほう疹、それに肺炎や腸閉塞など、さまざまな病気で入退院を繰り返し、高座に上がった際には「入院生活が続いたため足の筋肉が落ちてしまって正座が苦しい」などと冗談めかして話していました。

去年は細菌性肺炎にかかったほか、再び肺炎にかかって入院しましたが、その間、東京の国立演芸場で毎年８月に出演している夏恒例の高座には酸素吸入器をつけて登場し、「管は入りっぱなしですが、肺はすっかりよくなったと医者に言われました」などと自身の体調について話していました。

ことしに入ってからも息苦しさによる検査入院などで休演と復帰を繰り返していましたが、３月には仙台市内の寄席まで出向いていました。落語芸術協会によりますと、その後、４月19日に国立演芸場で行われた高座が最後の舞台になったということです。

歌丸さんの原点は終戦直後のラジオで聞いた「笑い」
長年にわたって落語界の第一線で活躍を続けてきた桂歌丸さんの原点にあるのは、終戦直後にラジオで聞いた「笑い」でした。

９歳のときに終戦を迎えた歌丸さんが、娯楽がほとんどないなかで楽しみにしていたのが、ラジオから流れてくる週２回の落語の番組でした。おととし文部科学大臣表彰が贈られた際、歌丸さんは取材のなかで当時のことを振り返り、「なんの笑いもない時代でした。娯楽としてあったのはラジオだけで、“昭和の名人”と言われた師匠たちがラジオで笑わせていました。それを聞いて、『これからの世界は“笑い“だな。俺は、はなし家になろう』と小学４年のときに決心しました」と話していました。

幼い頃から落語家になることを夢見た歌丸さんの思いはその後も変わらず、中学校を卒業したあと、五代目古今亭今輔に入門しました。



　　　　当　　ブ　　ロ　　グ　　へ　　の
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■【報道特集】 仲代達矢さん、桂歌丸さんが語る「戦争と憲法」・平和憲法の原点に迫る 【2017.08.05】　
金平キャスター番組巻頭の言葉
内閣改造の後、今も政権は家計・森友・日報問題などまるで終わった話しかのように稲田前防衛大臣らの国会での説明を拒んでいます。国会は国権の最高機関と憲法にうたわれています。憲法はないがしろにされていないでしょうか？今日の特集はその憲法の重みを戦争との関りから考えます。

平和記念式典
被爆72年の原爆の日を6日に控え、広島市では核兵器廃絶を考える集会や慰霊祭が開かれている。1歳の時に被ばくした藤森俊希さん（73）は核兵器禁止条約が採択されたこの機会に、被爆者が核兵器廃絶に向けたメッセージの発信をさらに強めていくことが重要だと訴えた。平和公園では、韓国人犠牲者の慰霊祭が開かれた。広島に投下された原爆では、2万人あまりの朝鮮半島出身者が一瞬にして亡くなったと言われている。駐広島韓国総領事館のソ・ジャンウン総領事は「原爆の前では国籍や男女の区別の必要がない。哀悼の意を持って献花した」とコメント。

戦争放棄の原点は 仲代達矢 桂歌丸が語る「戦争と憲法」
無名塾
俳優・仲代達矢が主催する「無名塾」の稽古風景を紹介。仲代達矢は19歳で役者の道を志して以来、映画「影武者」や「乱」で主演を務めるなど戦後の日本を代表する俳優の1人。役者人生の締めくくりとして選んだ、劇作家・ベルトルト・ブレヒト作の「肝っ玉おっ母と子供たち」。選んだ理由は自らが体験した壮絶な戦闘の記憶にあった。

青山通り
昭和7年生まれの俳優・仲代達矢が戦争について語る。昭和20年に小学校を卒業し中学入学後、空襲を受けた東京で仲代さんは黒焦げになった死体を何体も見たことを明かした。昭和20年5月25日の夜、青山通りを歩いていた仲代さんは空襲に遭遇。見知らぬ女児と逃げ回った仲代さんは、気がつくと女児の“手”だけを持って逃げ回っていた。女児に焼夷弾が直撃し、仲代さんは「恐怖のあまりその手を捨てて逃げてしまった。捨てたことが未だ後悔している」と話す。東京大空襲では325機のB-29が焼夷弾を投下し約12万4000人の死傷者を出した。2か月後、最後の総仕上げと言われた「山の手大空襲」では6000トン以上の焼夷弾が投下され約2万2000が死傷した。表参道には、焼夷弾により台座は欠け、黒ずんだ灯籠が今も残る。

港区赤坂在住の西尾悦子さんが山の手大空襲について語る。仲代達矢さんも当時の写真を見ながら、塾生たちに語りかけ「何が戦争だと思う」「戦争体験したことのない人たちに最後に”戦争反対”と唱えて死んでいきたい」と話した。

関内ホール
去年体力の限界を理由に放送開始から50年続けてきた人気番組「笑点」を勇退。ことしに入ってからも肺炎などの症状で入退院を繰り返している。いまでは酸素吸入器が無いと生活が困難で桂歌丸は「増えるのは薬と病院の診察券で減っていくのが頭の毛と寿命」「戦争なんて本当に愚の骨頂」と話す。先月9日、地元横浜で講座に上がった歌丸は戦時中の話に触れた。神奈川・真金町は当時赤線地帯と呼ばれた遊郭街だった。遊郭の女将だった祖母に育てられた歌丸は小学2年で千葉に疎開。山の手大空襲から数日後の5月29日、横浜の町は火の海と化した。歌丸さんは疎開先の千葉から「横浜大空襲」の様子を目の当たりにし、祖母の体験談を語った。笑いがなかった時代だから歌丸は笑いの道を選んだと話す。入門後、落語が戦時中戦争遂行の道具にされたことを知った。増えていく戦争を知らない政治家たちへ「戦争を知らない政治家が戦争に触れるなといいたくなる」と話した。

あたらしい憲法のはなし
東村山市に住む田浪政博さんは、中学1年時に学校で配られた新憲法を解説した本「あたらしい憲法のはなし」を今でも大事に保管している。田浪さんは「日本は戦争で負けて新しい憲法になって、これからそれでいくんだ、だから大事なんだ」と学んだことを話す。田浪さんが印象に残ったという挿絵には「戦争放棄」の文字が書かれていた。田浪さんは1987年に「あたらしい憲法のはなし」の復刻本を自費出版した。当時は憲法改正を主張してきた中曽根康弘氏が総理大臣を務めていた。

膳場貴子キャスターは来週は世界陸上のため、お休みと伝えた。


■【報道特集】 仲代達矢さん、桂歌丸さんが語る「戦争と憲法」・平和憲法の原点に迫る 【2017.08.05】　
仲代達矢さん・桂歌丸さんが語る「戦争と憲法」
全編で「戦争と憲法」を考える。俳優の仲代達矢さんがカメラの前で初めて明かす空襲の体験と憲法への思いとは?落語家の桂歌丸さんが戦争を知らない世代の政治家に伝えたいこととは?
平和憲法の原点に迫る
1946年に公布された日本国憲法。戦争放棄の構想はどう形作られ、国民はどう受け入れたのか?幣原首相とGHQマッカーサー司令官との会談などから検証。

【キャスター】金平茂紀・日下部正樹(TBSテレビ報道局)、膳場貴子(TBS専属契約アナウンサー)
【出演】下山倫　岩崎全智　尾川真一　中島孝司　佐藤祥太　高田智彦　飯塚照江　仲代達矢
桂歌丸　角田実　田浪政博　竹峰寛子　角元友子　保阪正康　朝原宣治　上村彩子
【スポーツキャスター】日比麻音子（TBSテレビアナウンサー）
【ナレーター:一般ニュース】向井政生（TBSテレビアナウンサー）
【ナレーター:注目・特集・NEXTコーナー】屋良有作、小山茉美 ほか
twitter：@tbs_houtoku http://twitter.com/tbs_houtoku
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■【報道特集】 仲代達矢さん、桂歌丸さんが語る「戦争と憲法」・平和憲法の原点に迫る 【2017.08.05】　書き起こし！　その��

＜スタジオから＞

膳場貴子キャスター：こんばんは！8月5日報道特集です。

金平茂紀キャスター：内閣改造の後、今も政権は家計・森友・日報問題などまるで終わった話しかのように、稲田前防衛大臣らの国会での説明を拒んでいます。国会は国権の最高機関と憲法にうたわれています。憲法はないがしろにされていないでしょうか？今日の特集はその憲法の重みを戦争との関りから考えます。

＜今日のニュースの後＞

膳場貴子キャスター：今日の特集は、全編を通して戦争と憲法について考えます。

金平茂紀キャスター：先の大戦について肌で知る世代が年々少なくなる中で俳優の仲代達矢さんと落語家の桂歌丸さんがそれぞれの戦争体験を語ってくれました。

日下部正樹キャスター：さらに憲法改正のテーマに浮上した９条について戦争放棄の思想の原点を探りました。

＜無名塾の稽古風景＞

ナレーター：舞台稽古に励む若い役者たち。その中心にいるのは、俳優の仲代達矢さん８４歳。無名に戻ったつもりでと、若い役者の育成の場として亡き妻、宮崎恭子さんとともに立ち上げた無名塾で、３カ月後に控えた舞台の稽古が行われていた。19歳で役者の道を志して以来、黒澤明監督の映画「影武者」や「乱」で主演を務めるなど、戦後の日本を代表する俳優の一人だ。そんな仲代さんが、役者人生の締めくくりとして選んだのがドイツの劇作家、ベルトルト・ブレヒトの舞台劇、「肝っ玉おっ母と子供たち」。ブレヒトが第二次世界大戦中に救いようのない戦争の愚かさを描いた反戦劇。この舞台を役者人生の締めくくりとして選んだ理由、それは、自らが体験した壮絶な戦争の記憶にあった。多くの役者を世に輩出してきた「無名塾」の稽古場で、あの戦争について聞いた。

＜コマーシャル＞

ナレーター：昭和７年生まれの俳優、仲代達矢さん。戦争を身近に感じて育った。

膳場貴子キャスター：仲代さんは戦時中、世田谷区、ここ、東京にお住まいだった。

仲代達矢さん：そうですね、昭和6年（1931年）に満州事変が起きて、で、終戦の時が、昭和20年（1945年）ですから、それが中学一年ですよ。だから、ほとんど軍国少年として、だーっと育てられたわけで。

ナレーター：役者を夢見る塾生の前で、普段はあまり戦争のことを語らない仲代さん。この時代、当たり前のように兵隊になって、国のために死ぬことを夢見ていたと話す。東京への空襲が激しくなっていた昭和20年3月に小学校を卒業。中学入学後、通学の際に見た東京の街をこう振り返る。

仲代達矢さん：まぁ、すさまじいもんで、新宿辺りへ空襲の後行っていますと、こんなことしゃべっていいのかな…。

膳場貴子キャスター：その話を今日、伺おうと思って。

仲代達矢さん：黒焦げになった死体が、こうなっているのが…、何百と死んでるわけですから。

膳場貴子キャスター：もう、その路上でってことですか。

仲代達矢さん：路上でですね、新宿辺りは。それを通り越して、あのー、中学へ行ったもんですから。

ナレーター：そして、自らも空襲に遭う。その場所は、現在、オフィス街やファッション街として人気がある青山通り。昭和20年5月25日の夜、渋谷から友達に会いに向かう途中だった。

仲代達矢さん：徒歩で、えー、行く途中に、空襲警報が鳴りまして、で、焼夷弾がバラバラ落ちてきて。これはいかーん！と思って逃げ回ってる時に、まだ小学生でもないような女の子が1人で逃げてるんですね。その子、全然知らない子ですよ。その子の手を、握って逃げ回ったら、逃げ回ったら、急に、手が軽くなったんですね。ふと見たら、焼夷弾が彼女に直撃して、私はその腕だけ持ってた。

膳場貴子キャスター：体が飛ばされてしまったってことですか？

仲代達矢さん：飛ばされてしまったんですね。バーッと自分でもやられたかなと思ったんですけど、かろうじて私に当たらないで、その女の子に当たって、その手を握ってたんですね、手だけ。恐怖のあまりに、その手を捨てて逃げてしまったんですけど、その捨てたことが、私はいまだ後悔しております。

ナレーター：仲代さんが忘れられない空襲。それは、山の手大空襲と呼ばれる。渋谷、表参道、赤坂などが5月24日から26日にかけて狙われたもの。3月10日、上野、浅草などの下町が焼け野となった東京大空襲では、300機以上のＢ29が、1600ｔ以上の焼夷弾を投下。一夜にして12万人を超える死傷者を出した。2カ月後、最後の総仕上げと言われた山の手大空襲では、その倍以上の1000機を超えるＢ29が襲来。6000ｔ以上の焼夷弾が投下されおよそ2万2000人が死傷。東京都心部の広範囲が焦土と化した。

＜渋谷・道玄坂の映像＞

ナレーター：多くの若者で賑わう渋谷・道玄坂。明治から栄える飲食街、神楽坂。空襲のつめ跡は、今も残る。昭和11年頃に撮影された表参道。そのシンボルとも言える灯籠が白く、真新しい姿で写っている。しかし現在、その台座は黒ずみ、至るところが欠けている。焼夷弾によるもの。この辺りには黒く焼け焦げた遺体が幾重にも積み上がっていたと言う。これは終戦から8年後に出版された写真集。焼け焦げた遺体が多く残されていたことが記されている。

＜場面が変わって＞

ナレーター：港区赤坂に住む西尾悦子さん88歳。西尾さんも、山の手大空襲の当時を知る1人だ。

西尾悦子さん：夜にトタンの上で死体を焼いたらしいわよ。私は怖いから見ないし、人魂が出ると怖いから行かなかったけど。

ナレーター：西尾さんに、当時の写真を見てもらった。

西尾悦子さん：懐かしい。四谷・信濃町。四谷で、これが一ツ木通り。焼け野原だった。

＜無名塾でのインタビュー＞

ナレーター：過酷極まる戦争を体験してきた世代にとって、その記憶は共通している。

仲代達矢さん：まさにこれです。

膳場貴子キャスター：こんな状況を目にされましたか。

仲代達矢さん：はい、みんな黒焦げみたいになってます。焼夷弾ですから。…、君たち、こうなんだよ。こうなんだよ！

ナレーター：唐突に若い塾生たちに語りかける仲代さん。

仲代達矢さん：だから当然、僕らの世代でもう生き延びているやつは、少ないですけど、みんなこういう経験してるわけで、何が戦争だと思いますね。だから次世代の若者に、戦争というのはこういうものだぞと、あの、まー、国を守るためにって言われると、そうかなと思って、みんなその権力者の後についていっちゃうのかもしれませんけど、そこは、戦争体験したことのない人たちに、まー、最後に、戦争反対ってことを唱えて死んでいきたいですね…。

＜桂歌丸師匠＞

ナレーター：もう１人、戦争を身をもって体験した反戦の意識を強く持つ人物がいる。落語家の桂歌丸さん80歳。去年、体力の限界を理由に放送開始から50年続けてきた人気番組「笑点」を勇退。今年に入ってからも、肺炎などによる症状で入退院を繰り返している。今では一日中、酸素吸入器がないと生活が難しいと言うが、

桂歌丸さん：増えるのは薬と病院の診察券で、減ってくるのは頭の毛と寿命だけだからね…。戦争なんて本当に愚の骨頂です。やるもんじゃないですよね。おっかないですよ。いまだに、だって戦争のつめ跡っていうのは今も言うとおり、残ってるじゃないですか。

ナレーター：歌丸節は今も健在だ。中学3年で落語の世界に入り、芸を磨き続けてきた65年。先月9日、地元・横浜で久々に高座に上がった。

高座・桂歌丸さん：声は大きな声が出るんですよね。尤も、これで声が出なかったらミイラも同じようなもんですからね、これ。

ナレーター：会場では、この日一番の笑いが湧き起こる。その芸の原点にあるのは、戦争の体験だ。落語の本題に入る前の、いわゆる枕では、戦時中の生活に触れた。

桂歌丸さん：私は生まれも育ちも真金町でございますんで、まあ、昔の真金町と言いますと…、(間があって)、いいとこでした。（笑い）

ナレーター：歌丸さんが生まれ育った、横浜市南区にある真金町。当時は赤線地帯と呼ばれる遊廓街だった。遊郭の女将だった祖母に厳しくも優しく育てられたおばあちゃん子だったと言う。小学2年のときに祖母と離れ、千葉へ疎開。疎開先ではいじめられ、早く横浜に帰りたいと願っていた。しかし、山の手大空襲から数日後の5月29日、横浜の街は火の海と化した。およそ1時間に数十万個に及ぶ焼夷弾が投下され、8000人以上もの犠牲者が出たと言われる横浜大空襲。歌丸さんは、疎開先の千葉からその空襲を見ていた。

桂歌丸さん：これはね、あの、(千葉市)誉田の山の中に、山の中っておかしい、小高い所があったです。昼間でしたからね、横浜の空襲は。そこを上りますと、ま、東京湾を隔てて向こう側に横浜があるわけです。黒煙が上がってるのが見えるわけですよ。

金平茂紀キャスター：千葉から？

桂歌丸さん：千葉から、横浜が焼けてる、大丈夫かな、大丈夫かなって、そのことばっかりでしたね。つまりおばあちゃんの身を案じることが。

ナレーター：祖母は、幸い無事だった。しかし、早く帰りたいと願っていた横浜の街は一変していた。

金平茂紀キャスター：こんな感じに壊れてたんですか？

桂歌丸さん：そうですよ。全く何もなくなって。これもわかってます、もう、山手から見た下でしょう？

ナレーター：自宅は焼け、遮る建物がなくなった真金町からは、横浜の街を四方八方見渡せたと言う。後日、祖母から聞いた空襲の話は、まさに九死に一生を得る体験だった。

桂歌丸さん：久保山の方に、久保山は坂だから土手があったわけです。土手にみんな、防空壕、あれが掘ってあって。そこへ逃げようと思って、入ろうと思ったんですって。そうしたらいっぱいだった。だからダメだと言われたんです。

ナレーター：雨のように降りしきる焼夷弾を避けるため、多くの人が殺到した防空壕。あきらめた歌丸さんの祖母は山を下り、橋の近くに避難した。

桂歌丸さん：もう逃げても嫌だからここにいようと思ったんですって。んで、焼け死んだって、しょうがないじゃないか。そしたら、その一角だけ焼け残ったというの。

金平茂紀キャスター：防空壕の辺りはどうだったんですか？

桂歌丸さん：防空壕の人は、ほとんど死んじゃった、煙で。

ナレーター：ゼロからのスタートとなった戦後。笑いがなかった時代だったからこそ、落語の道を選んだ。

桂歌丸さん：人間、泣かせることと、怒らせることは簡単なんですよ。笑わせることぐらい難しいものはないですよ。

ナレーター：だが、入門後、落語が戦時中、戦争遂行の道具にされたことを知った。

桂歌丸さん：あの落語をやっちゃいけない、この落語をやっちゃいけない、全部お上から止められたわけです。だから、あの、「長屋の花見(落語の演目)」を改作して、「長屋の防空演習」とか、そういうのをやっている師匠もいましたよ。おもしろくないよ、そんなものは。

金平茂紀キャスター：ねぇ、…。

桂歌丸さん：ねぇ、…。

ナレーター：となり組、弾丸切手、出征祝。これは昭和１６年に出版された落語集。落語の演目らしからぬタイトルが並ぶ。戦意高揚のためにつくられた国策落語、と呼ばれるものだ。

金平茂紀キャスター：国策落語みたいな、これは国にとっていいことだみたいな。今から考えると、どうですか、そういうのんて。

桂歌丸さん：つまんないですよね、つまんないですよー。落語っていうのは芯から、腹から笑うから落語ですよね。ただ上辺だけの、ああこれが落語かってだけのものですから。ありゃ〜、つまんないでしょう。それでまた、そういう時代ですから。

ナレーター：落語家として言葉を生業にしてきた歌丸さん。今の政治家の言葉に、強い危機感を抱いている。

桂歌丸さん：極端に言うと、今の政治家、落語を聞かないからいけないんです。もっと落語を聞けっていうんです。（口を指して）ここでしゃべるからいけないんです。しゃべるのは（おなかを指して）ここでしゃべれ。（口を指して）ここでしゃべるから、うまい言葉が出てこないんです。
今の政治家は（おなかを指して）ここへも、（頭を指して）ここへも入れないで、（口を指して）ここだけでしゃべるから、間が抜けてるんです。うん、だから、本当にしゃべるんだったら、”肚(はら)”からしゃべれ。

ナレーター：増えていく戦争を知らない世代の政治家たち。
歌丸さんは、

桂歌丸さん：戦争を知らない政治家が戦争に触れるなって言いたくなる。あるいは戦争を知らなかったら、戦争をもっと研究しろと。戦争というものは、いいものなのか悪いものなのか。この判断をきっちりとしろって言いたくなるんです。それをただ上辺だけでしゃべってるからおかしくなっちゃうんです。いいものだと思ってる政治家だったら、我々選ばないです、絶対に。うん！

■【報道特集】 仲代達矢さん、桂歌丸さんが語る「戦争と憲法」・平和憲法の原点に迫る 【2017.08.05】　書き起こし！　その��

＜玉音放送＞

ナレーター：戦後、焼け野原となった日本の再出発。それは無謀な戦争を続け、国の内外に惨禍を巻き起こした、軍国主義からの脱却が起点とされた。まず求められたのは、天皇主権を原則とする明治憲法の改正だ。敗戦から1年あまりの1946年11月3日。貴族院本会議場で、新たな憲法を公布する勅語を読み上げたのは、昭和天皇だった。皇居前広場で、同じ日の午後２時から開催された祝賀式典には、10万人を超える人が足を運んだ。祝賀日本国憲法公布の文字も見える。丸で囲まれているのが昭和天皇だ。新憲法公布に当たり、神ではなく1人の人間として姿を見せた瞬間だった。この式典を目の前で見ていたという人に私たちは会うことができた。

皇居前広場（東京千代田区）にてインタビュー・角田実さん：ここに今、人がいっぱいいますけど、ここが二重橋ですからね。二重橋の手前、この道の、この辺りに、なんて言うの舞台っていうの、式場の中心があったということ…。

ナレーター：当時17歳だった角田実さん。式典会場の奥に写る二重橋は、今も同じ場所にある。

角田実さん：新しい憲法だということで、それから、天皇・皇后さんがいらっしゃるということで、それはやっぱり、当時は、今よりも天王崇拝の、あれが相当に日本国民の中にありましたからね。

ナレーター：昭和天皇が演壇に登場したとき、ソフト帽を振る姿に、参加者は総立ちとなり、バンザイが湧き起こったと言う。

角田実さん：天皇さんはやっぱり「おめでとう」と、吉田茂(首相)も、…。「憲法ができたから新しい日本のためにおめでとう」と。ちゃんとここでご挨拶をしたんですね。平和な国になるんだろ、そういう期待だけは、変わるんだなということは、それはまぁねぇ、17歳の学生でも思いますよね。

ナレーター：明治憲法にはなかった国民主権、基本的人権の尊重、そして、平和主義を定めた新憲法。教育現場でも、大きな変化が起きた。

＜東京東村山市・田浪政博さんのご自宅から＞

ナレーター：東京・東村山市に住む田浪政博さん。中学1年のときに学校で配られた本を、今も大切に保管している。

日下部正樹キャスター：これは何の授業の時、使ったんですか？

田浪政博さん：当時の社会科の先生が2時間だけやってくれて、それは、かなり力を入れてやってくれたのは聞いててわかったんですね。

ナレーター：あたらしい憲法のはなし。当時の文部省が編集、新憲法を解説した本だ。1948年から4年間、中学校で使われた。

田浪政博さん：もらった時に言われたのは、「日本は戦争の負けて新しい憲法になって」「これからそれでいくんだと、だから、あの、大事なんだと」

日下部正樹キャスター：憲法ってこんなもんなんだと感じた初めての体験っていうのは、この教科書を読んだこと。特にどこに？

田浪政博さん：いろいろあったんですけども、やっぱり戦争放棄という、これ有名な図ですよね。非常にこれ、わかりやすいと思うんですけど、つまり、あの、こういうものを入れて、ほで、平和産業ですよね、こういうものにするというのは、当時の中学生にはわかりやすかった。

ナレーター：田浪さんが最も印象に残ったという挿絵。戦闘機や戦車が大きな釜に入れられ、列車やビルにつくり替えられていく様子が描かれている。過去にラーメン店を経営していた田浪さん。実は、憲法施行40年となる1987年に、「あたらしい憲法のはなし」の復刻本を自費出版したのだ。

田浪政博さん：1人ぐらいは、こういうバカがいてもいいんじゃないかっていうのが、率直な感想ですよ。

ナレーター：当時は、憲法改正を主張してきた中曽根康弘氏が総理大臣だった。今年、改めて改憲論議に自ら火をつけたのは、この人物だった。

＜コマーシャル＞

ナレーター：5月3日の憲法記念日。その発言は、唐突だった。

民間憲法臨調から・アベ：2020年を、新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています。

ナレーター：2020年に改正憲法の施行を目指すという考えは、同じ日の読売新聞でも詳しく紹介された。安倍総理が改憲にこだわる理由、それは、過去の発言から見えてくる。13年前、教育基本法改正を求める大会では、

教育基本法改正を求める大会・アベ：占領下において、この教育基本法ができた。そして憲法が成立をし、戦後体制が整ったわけであります。占領を受けているときにできた体制が、そのまま延々と続いている。それは、まさに、”占領時代の残滓(ざんし)”と言える。こう思うわけであります。

ナレーター：今の憲法に対しての安倍総理の一貫した認識は、占領時代につくられた憲法というもの。特に憲法前文については、辛辣に批判している。平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、という文言だ。5年前、第二次安倍政権誕生直前に出演したゲスト番組では。

ゲスト番組・アベ：いじましい、みっともない憲法です、ハッキリ言って。それは、日本人が作ったんじゃないですからね。

ナレーター：みっともない憲法とまで発言した。
総理に返り咲いてからは、具体的な改憲項目から始めた。まずは、憲法の改正手続を定める96条だ。

山口市街頭演説・アベ：私は第96代の総理大臣でありますが、96条を変えたいと思っている。

ナレーター：今年に入ると、野党が提案していた教育無償化を改憲項目に挙げた。そして、5月に突如明らかにしたのは、憲法9条の改正だ。9条は、1項で戦争の放棄、2項で戦力の不保持と交戦権の否認を定めている。

官邸？・アベ：「9条、1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方。これは国民的な議論に値するだろうと思います。

ナレーター：憲法9条は戦後長く、護憲・改憲論議の中心となってきた条文だ。今も、押しつけとの主張が繰り返される。

＜千葉県野田市・幣原喜重郎氏の側近だった大平駒槌の孫娘：映像＞

ナレーター：9条はどのようにして生まれたのか。その経緯を知るための貴重な手がかりが残されている。それが、このノートだ。戦後間もなく総理大臣に就任した幣原喜重郎と、ＧＨＱの最高司令官・マッカーサーとのやりとりが記されている。幣原の側近だった大平駒槌。彼が幣原から聞き取った内容を、娘の羽室ミチ子さんにまとめさせたものだ。羽室メモと呼ばれる。現在は羽室さんの娘たちが保管している。

日下部正樹キャスター：お母さん、このノートを書いているときの様子って、覚えてらっしゃいます？

姉・竹峰寛子さん：そうですね、とにかく、もう必死で書いていたという覚えはありますね。

妹・角元友子さん：食事の支度を終えて、小さな弟たちとかね、ごはんを食べ終えて、こたつで一生懸命書いていたのを覚えてる。

ナレーター：3時間にも及ぶ幣原とマッカーサー2人だけの会談は、1946年1月24日に行われた。日本政府のもとで、明治憲法の改正案を検討している最中のことだ。

姉・竹峰寛子さん？：マッカーサーがいつも先に言うのに、幣原さんが先に話をしたというところ。

ナレーター：自分は生きている間に、どうしても天皇制を維持させたいと思うが、協力してくれるかと尋ねた。彼は、一発の銃声もなく、一滴の血も流さず進駐できたのは、全く日本の天皇の力によるところが大きい。天皇制を維持させることに協力し、努力したいと考えていると返事した。
「天皇制の維持」。
これに続く幣原の発言に、マッカーサーは驚いたと言う。
それこそが、

＜羽室メモより＞

ナレーター：戦争を世界中がしなくなるようになるには、戦争を放棄するということ以外にないと考える。ということを話し出したところが、マッカーサーは急に立ち上がって、両手で手を握り、涙を目にいっぱいためて、そのとおりだと言い出したので、幣原はちょっとびっくりしたと言う。
「戦争放棄の構想」だ。
このとき日本の総理からＧＨＱの最高司令官に伝えられた。幣原はなぜ、戦争放棄を考えるに至ったのか。

＜羽室メモより＞

ナレーター：世界から信用をなくした日本にとって、戦争を放棄するということを、はっきりと世界に声明すること、それだけが日本を信用してもらえる唯一の誇りではないか。メモには、そう幣原の言葉が残る。

姉・竹峰寛子さん：まさしく実感だったと思いますね。
国際社会の信用を得るには、これしかないと。

＜保阪正康氏のインタビュー＞

ナレーター：幣原とどのような人物だったのか。近現代史を研究する保阪正康氏に聞いた。

ノンフィクション作家・保阪正康さん：(1920年代の)幣原外交に対して、国際協調路線に対して、国際連盟なんかでも、かなり評価は高いんですね。

ナレーター：幣原は第一次大戦後、外務大臣として軍事ではなく外交による国際協調を目指した。だからこそ、戦争放棄を発想するに至ったのではないか、そう保阪氏は考えている。

ノンフィクション作家・保阪正康さん：もちろん9条なんて言葉はまだないですけど。武力によって国際情勢あるいは、懸案の政治的対立をですね、解消することはできないのだと。話し合い、それから、出来れば武力というものを持たないようにすると、いうことが、それぞれの、これからの、将来のいろいろな国が歩み寄ってつくっていく世界秩序だろうと、というようなことを幣原が言ったんだろうと思いますね。この二人の会話というのが実は、今の憲法の重要な土台になってると私は思います。

ナレーター：一方で、日本の非武装化は当時の国際社会の要請でもあった。

ノンフィクション作家・保阪正康さん：日本と言う国に対しては、国際社会に中では、かなり批判的あるいは憎悪の感情。日本の軍に痛めつけられたアジアなどでは、憎しみは充満してましたね。それから連合国の中でも日本に対する恨みはかなり深かった。

ナレーター：幣原との会談の翌月、マッカーサーは明治憲法改正のための、いわゆるマッカーサー3原則を示した。天皇制の維持、戦争の廃止、封建制度の廃止が指示されている。それをもとに、ＧＨＱ内で憲法改正草案が作成され、日本側の改正案は、根本的な見直しを迫られることになった。戦争の放棄について、ＧＨＱ草案では国民の主権として、戦争は廃止、武力は放棄と書かれている。その後、帝国議会での議論で条文はたびたび修正された。その過程がわかる資料が残る。赤い文字は最後の修正部分だ。4カ月にわたる議論の末、9条は今の姿になった。1項の前半、日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、という文言は、新しく日本側がつけ加えたことがわかる。だが数年後、新憲法を巡り今なお続く、あの議論が巻き起こる。所謂、押しつけ憲法論争だ。火をつけた1人は安倍総理の祖父、当時の岸信介総理だった。

姉・竹峰寛子さん：岸さんが「憲法9条は押し付けられたものである」ということを、…、報道で随分伝えられたことから、(母は)「これは間違っている」と。すぐ、「私の知ってることと違う」ってことで、高柳賢三さんに手紙を書いた。

ナレーター：羽室さんが手紙を送ったのは、内閣の設置した憲法調査会の高柳賢三会長。憲法制定の経緯について調査していた。幣原の発言を記録したメモの要約も送った。すると、

姉・竹峰寛子さん：1959年の1月の手紙。

ナレーター：間もなく高柳会長から返信が来た。そこには、メモの記述は真実に近く、戦争放棄条項の成立史に大きな光明を投げかけると、書かれていた。高柳会長はマッカーサーからも、羽室メモにある幣原の証言と同様の内容を得ていた。

憲法調査会・高柳賢三会長：第9条については幣原さんが発言して、それをマッカーサーがのんだんです。そういうふうな点からみまして、天皇制と9条のところは、日本政府の意向を向こうがのみましてね、そして出来上がったと言う事実。そういうところから見て政治的に言っても、有識に言っても、日米合作と言うのが正しい。

ナレーター：施行から70年、憲法が背負ってきた歴史に目を向けるべきだと保阪氏は言う。

金平茂紀キャスター：憲法改正を巡る論議、あるいは動きですか、今後どういうふうに動くと保阪さんは、ご覧になっているのかなと思って…。

ノンフィクション作家・保阪正康さん：私は、「憲法」は、一政党とか、一新聞社とか、一団体が、主張して変えていくものではないと思いますね。やっぱり国民的な議論、国民的な合意というのは、ま、絶対条件だと思いますね。国民的議論というのは、改正するかしないかの段階からはじまるってことですね。それは、いままでの歴史をどう見るかというところから始まるってことですね。何年何月まで変える、叩き台出しますから、皆さんそれに議論してくださいというのは、なにか、私達が70年作ってきた歴史をですね、まるで、なんですか、こう軽く考えているんじゃないか。こんなに軽く考えてていいのか。

＜　ま　と　め　＞

ナレーター：軍国主義のもと、無謀な戦争に突入し国内外で失われていった１人１人の命。戦争の惨禍の上に掲げられた平和主義、日本国憲法。戦争を知る最後の世代として、歌丸さんはこう話す。

桂歌丸さん：戦争は絶対ダメです。やるべきことじゃないです。うん。また、応援することでもないと思います戦争で、よその国を。でも、ま、（憲法）9条の中にもありますけどね、絶対に戦争だけはやってもらいたくないと思います。ね、戦争は国会の中だけでやってりゃいいですよ。

金平茂紀キャスター：ははははは（笑い声）

ナレーター：歌丸さんと同じ時代を生きてきた仲代さん。役者という職業柄、あまり触れてこなかった憲法9条について、テレビカメラの前で初めて語った。

仲代達矢さん：日本国憲法「9条」の問題にしてもですね、あれが70年間を、あの、平和にしてきたわけですから、あれが憲法改正される、それから9条に対して、自衛隊がどうのこうのという問題は、実に恐ろしいことだと思いますね。だから憲法改正は具体的に言って反対です。やっぱり、それを改正しないで、日本人が、うん、平和憲法を保っていくのは、日本人の叡智だと思いますね。

＜スタジオから＞

膳場貴子キャスター：戦争を体験した人たちが年々少なくなっていく中で、お話を伺った方たちの言葉、一つ一つの重みを私は強く感じたんですけれども、皆さんはいかがだったでしょうか？仲代さんは、山の手大空襲の際に幼い女の子の手を引いて逃げた、その手の感触が今も残っているとおっしゃっていました。実は、それに加えて、自分がもし一緒に逃げなかったら、あの女の子は命を落とさなかったんではないかという、自責の念も今なお強くもっていらっしゃいました。そういう強烈な体験を伴った言葉というのを、もう一度ちゃんと受け止めたいなと思いました。

金平茂紀キャスター：僕も桂歌丸さんの言葉がすごく説得力があるというか、圧倒的な重みを感じたんですけれども、おばあちゃん子でね、お女郎屋さんと歌丸さんは言っていましたが、遊廓だったんですね。そこの女将さんをやっていて、全部焼けてなくなっちゃったんですね、その遊廓が。その弱い者の立場から見た戦争の悲惨さを見て育った、だから戦争なんかやっちゃダメなんだという言葉、ものすごい強い説得力があると思います。

日下部正樹キャスター：私は取材を通じて、憲法9条というのは、国際社会に向けた重要なメッセージだったんじゃないかと思うんですね。当時国際社会の間で、天皇制こそ軍国主義の元凶だと見られていたわけです。これに対して日本は、天皇制は維持するけど絶対軍国主義には戻らないんだと、平和国家を目指すんだという、ま、国際社会に対して宣言を行ったんだと思うんですね。それを単に、押しつけだとか、みっともない憲法だというのは、私たちの祖父母たちの思いを軽んじているものとしか思えないですね。

膳場貴子キャスター：平和憲法を保っていくのは日本人の叡智だとすると仲代さんはおっしゃっていましたよね。

日下部正樹キャスター：あのー、戦後、一時ね、中学校で教えられた「新しい憲法のはなし」の中にね、軍隊の放棄について、こう書いているんです。皆さん、決して心細く思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国より先に行ったんです。世の中に正しいことぐらい強いものはありません。永田町の皆さんにも、絵空事ですねと切り捨てないで、議論の前提としてまず読んでいただきたいですね。

金平茂紀キャスター：安倍政権、今はちょっと支持率を意識して憲法改正論議を声高に言ってないけれど、もし支持率が上がるとまた元の主張に戻っちゃうんじゃないか、という懸念があるんです。これね、えー、歌丸さんが言っていた国策落語ってあるでしょう。これ当時の、戦時中の雑誌なんですけれども、読んでいて、例えば、「三国同盟」なんてタイトルの、そういう落語があったりして、仮にですね、テレビが国策報道、国策バラエティー、国策スポーツみたいになっちゃったら、もう見る気なくなっちゃいますよね。憲法改正論議というのは、そういう空気と密接に関係しているというのは取材を通じて感じました。

膳場貴子キャスター：引き続き台風情報にご注意ください。
報道特集、来週は世界陸上でお休みです。それではまた、…。

オシマイ！



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